「3Dプリンターを買ったけど、失敗ばかりでうまくいかない」
そんな声をよく聞きます。
でも実は、最初の設定や印刷の手順に気をつけるだけで、成功率は一気に上がるんです。
前回は、初心者におすすめの3Dプリンターと必要な道具を紹介しました。
第4回では、3Dプリントの基本的な流れと、初心者がつまずきやすいポイントを解説します。
この記事を読めば、はじめてでも安心して出力をスタートできます。
目次
3Dプリントの基本手順
まずは、3Dプリントの大まかな流れを確認しましょう。
【STEP1】モデルデータの用意
まずは印刷したい3Dデータ(STL形式など)を用意します。
無料で使えるデータ共有サイトも充実しています。
おすすめのサイト:
- Thingiverse(https://www.thingiverse.com/)
- Printables(https://www.printables.com/)
- Cults3D(https://cults3d.com/)
【STEP2】スライスソフトで印刷データに変換
STLデータをそのままプリントはできません。
専用ソフトで「G-code」に変換する必要があります。
代表的なスライスソフト:
- Cura(無料・高機能・初心者向け)
- PrusaSlicer(プリントの安定性に優れる)
- Bambu Studio(Bambu Labユーザー向け)
スライスでは以下の設定を調整します:
設定項目 | 内容 |
---|---|
レイヤーの高さ | 印刷精度に関わる(0.2mmがおすすめ) |
充填率(インフィル) | 中身の密度。20%程度が標準 |
サポート | オーバーハング部の支え |
スカート・ブリム・ラフト | 印刷時の土台の有無 |
【STEP3】プリンターにデータを送る
USBメモリ、SDカード、Wi-FiなどでG-codeファイルをプリンターに転送します。
データ転送後、プリンター側の操作画面で印刷をスタート。
【STEP4】印刷前の準備とチェック
ここが成功の鍵になります!
- ベッドレベリング(水平出し):正しくできていないと印刷物が剥がれたり、歪んだりします。
- ノズルの温度とベッドの温度確認:フィラメントの種類によって適温が異なります。
- ベッドの掃除:アルコールで拭いてホコリ・油分を除去しましょう。
【STEP5】印刷中の見守り
最初の1層目がうまく貼り付くかを見ておきましょう。
ここで失敗すると、その後の印刷がすべてムダになることも。
【STEP6】完成と取り外し
完成後は十分に冷却されてから取り外しましょう。
無理に剥がすとベッドを傷める原因になります。
スクレーパーなどを使って慎重に作業しましょう。
初心者がつまずくポイントと対処法
印刷物がベッドにくっつかない
原因:
- ベッドレベリングがずれている
- ベッドが汚れている
- ノズルとベッドの距離が遠い
対処法:
- 自動レベリング機能を使う
- ベッドを清掃
- ノズル高さを微調整(Zオフセット)
途中でフィラメントが出なくなる
原因:
- ノズルの詰まり
- フィラメントの折れや引っ掛かり
対処法:
- ノズルを加熱して掃除針で除去
- フィラメント経路を確認
印刷物の表面がガタガタする
原因:
- 印刷速度が速すぎる
- フィラメントの品質が悪い
- 本体が不安定
対処法:
- 印刷速度を落とす(50〜60mm/s)
- 高品質なフィラメントを使う
- 本体の下にゴム足などで安定させる
成功のコツは「最初は小さく簡単なもの」から
初心者が陥りがちなのが、「いきなり大きくて複雑なものを作る」こと。
まずは以下のようなシンプルなデータで練習してみてください:
- スマホスタンド
- ケーブルクリップ
- コインケース
- キーホルダー
- カップホルダー
これらは印刷時間も短く、失敗のリスクも少ないため、習熟にぴったりです。
まとめ:3Dプリントは「準備8割・印刷2割」
「うまくいかない…」と悩む初心者のほとんどが、印刷前の準備不足です。
成功率を上げるためのポイントをもう一度おさらいしましょう:
- データは信頼できるサイトから入手
- スライス設定は最初はデフォルトでOK
- ベッドレベリングと清掃は毎回行う
- 小さくて単純なモデルで練習
- 失敗しても焦らず、原因をひとつずつつぶす
次回(第5回)では、「自作3Dモデルの作り方と無料ツール紹介」を予定しています。
「既製品じゃ物足りない」「オリジナルのパーツを作ってみたい」という方は、ぜひチェックしてください!