こんにちは!ついに全5回に渡る連載も最終回となりました。
これまで、3Dプリンターの仕組みや選び方、スライサーソフトの使い方、実際の印刷手順など、初心者に向けて段階的にご紹介してきました。
前回の第4回目は、初心者が失敗しないための手順とコツを紹介しました。
最終回は、「自分で3Dデータを作ってみたい」という方のために、
初心者でも扱いやすい無料モデリングツールと、設計時のコツをまとめてお届けします。
「こんなモノがあったら便利だな」「自分だけのアイテムを作ってみたい」
そんなアイデアを、実際に“カタチ”にしていく第一歩として、ぜひ参考にしてください。
目次
3Dモデルを作るって難しい?
「3Dモデリング」と聞くと、ゲーム開発や工業設計のような難しい世界をイメージするかもしれません。
しかし、最近では初心者向けに設計されたツールやテンプレートが豊富にあり、直感的な操作だけで簡単にモデリングができる時代になっています。
まずは難しく考えず、「立体の積み木を組み合わせて形を作る」感覚でOKです。
初心者におすすめの3Dモデリングツール3選(すべて無料)
① Tinkercad(ティンカーキャド)
- URL:https://www.tinkercad.com
- 特徴:
- ブラウザ上で動く(インストール不要)
- 小学生でも使えるほど直感的
- 図形を組み合わせるだけの簡単操作
- おすすめ用途:キーホルダー、小物、簡単な部品など
3D初心者が最初に触るツールとして最適です。
② Fusion 360(個人利用は無料)
- URL:https://www.autodesk.com/products/fusion-360/
- 特徴:
- Autodesk社の本格CAD
- スケッチ→押し出し→3D化のステップが明快
- 商用利用しなければ無料プランあり(条件付き)
- おすすめ用途:精密な部品、ガジェット、DIY設計
操作はTinkercadより難しいですが、慣れれば非常に強力です。
③ Blender(ブレンダー)
- URL:https://www.blender.org
- 特徴:
- 高度な3Dモデリング・アニメーション・レンダリングが可能
- 無料オープンソース
- STL形式でエクスポート可能
- おすすめ用途:フィギュア、キャラクター、デザイン性の高い造形物
アートや造形寄りの人に向いています。
実際に作ってみよう!Tinkercadで簡単キーホルダー設計
- Tinkercadにアクセスし、無料アカウントを作成
- 「新しいデザインを作成」→作業スペースが表示される
- 「箱(Box)」をドラッグして土台を作成
- 「テキスト」を追加して名前を入れる
- 穴を開けるために「シリンダー(Hole)」を配置
- すべてのパーツを選択 →「グループ化」して一体化
- 「エクスポート」→「STLファイル」で保存
これでオリジナルのキーホルダーデータが完成!
スライサーでG-codeに変換すればすぐに印刷できます。
自作データを作る際の注意点5つ
3Dプリンターで「正しく印刷できる形」にするために、設計時には以下のポイントを押さえておきましょう。
注意点 | 内容 |
---|---|
壁の厚さ | 最低でも1mm以上にする(薄すぎると割れる) |
サポート | オーバーハングがある場合、サポート材が必要 |
平面 | 最初の層が安定するよう、底面は平らにする |
穴あけ | 穴は最小でも直径2mm以上に(小さすぎると潰れる) |
尺寸の確認 | 1mm単位で寸法を意識(特にパーツのはめ合い) |
特にFusion 360などで精密部品を設計する場合は、
「±0.2mm」の誤差を考慮して設計するようにすると現実と合いやすくなります。
どんなものを自作している?実例アイデア
SNSなどで実際に3Dプリンターで自作された人気アイデアをご紹介します。
- ケーブルホルダー:机の裏に貼れる配線整理用ホルダー
- ラズパイケース:Raspberry Pi用オリジナルケース
- 引き出しの仕切り:ピッタリサイズの収納パーツ
- イヤホンホルダー:巻き取り式の小型ホルダー
- フィギュアスタンド:自作キャラや模型のディスプレイ用
これらのアイデアはオリジナル性が高く、身の回りで活用しやすいものばかり。
ちょっとしたアイテムでも、自作できると感動が大きいです。
まとめ:3Dプリントの楽しみは「作る」ことにあり
既製データの印刷も楽しいですが、自作データを使えばその楽しみは何倍にも広がります。
最初はTinkercadなどで簡単な形から始めて、少しずつ応用していけばOKです。
ポイントは以下の通りです。
- TinkercadやFusion 360で誰でも無料で設計可能
- 壁厚・平面・穴のサイズなどの基本ルールを守る
- 実用的なアイデアは生活にも役立つ
- 失敗しながら少しずつスキルアップしていけばOK
全5回にわたってお届けしてきた「初心者向け3Dプリンター講座」、いかがでしたか?
はじめは難しそうに見えても、ひとつひとつのステップを楽しみながら進めていけば、誰でも3Dプリンターの世界を楽しむことができます。
印刷するだけでなく、自分でデータを作って、アイデアを形にできるという体験は、きっとあなたのものづくりへの視野を広げてくれるはずです。
3Dプリンターは、ただの機械ではなく、アイデアを実現するための道具です。
ぜひ、あなたの創造力と好奇心を自由に活かして、オリジナルの世界をつくってみてください。
この連載が、あなたの「最初の一歩」の後押しになれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
[連載記事 全5回] 3Dプリンター初心者のための徹底活用法
まったくの初心者でもわかるように、3Dプリンターの基本、実際の使い方から活用アイデアを紹介しています。
- そもそも3Dプリンターとは?初心者にもわかる仕組みと活用例
- どんな人に向いている?3Dプリンターの魅力と始めるメリット
- 初心者におすすめの3Dプリンターと必要な道具・選び方ガイド
- 3Dプリント実践ガイド!初心者が失敗しないための手順とコツ
- 3Dデータを自分で作ろう!初心者向け無料ツールと設計のコツ (本記事です)